
トップ > メルマガバックナンバー
2007年8月23日
英国食品規格庁(FSA)の運営委員会は2007年5月、食品への葉酸添加の義務化を推奨することを決定しました。アメリカではすでに穀類への義務化を行っており、各国で葉酸の積極的な摂取が推進されています。
葉酸は赤血球の形成を助けるビタミンB群の一種で、通常の食生活では欠乏することはないが、体内での貯蓄性が低いことから毎日摂取することが必要とされている。特に、妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害(NTD)発症が高まることが明らかとなっており、胎児の正常な発育に寄与する栄養素だ。
NTDの発生の多かった米国では、1992年に米国疾病管理センター(CDC)がNTDのリスク低減のために妊娠可能な年齢のすべての女性は葉酸を1日に400μgを摂取すべきと勧告した。妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月が特に摂取の重要な時期であるため、妊婦に加えて妊娠を望む女性も積極的な葉酸摂取が必要とされ、米国では1998年から主食となる穀類への葉酸の添加を義務づけている。
英国ではすでに、朝食用シリアルやスプレッドへの自主的な添加が行われているが、今回、FSAの運営委員会ではパンや小麦粉への葉酸添加の義務化を推奨することを決めた。添加により現在、葉酸の摂取が不十分である約1300万人の栄養状態を改善するだろうとしている。今後はパンと小麦粉のどちらを添加義務の対象とするのか、過剰摂取を防ぐためにどのように表示をしていくかなどを検討する。 オーストラリアやニュージーランドでもパン用小麦粉への葉酸添加の義務化が進められており、各国で葉酸の積極的な摂取が推進されている。
日本では、添加の義務化は進められていないが、2005年に出された「妊産婦への食事バランスガイド」において、バランスの良い食生活を通して葉酸を積極的に摂取するよう呼びかけており、食事摂取基準でも妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性には1日あたり400μg(上限は1000μg)の摂取を推奨している。摂取状況をみると、平成16年の国民健康・栄養調査結果における妊婦の葉酸の平均摂取量は約286μg/日であった。
葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に比較的多く含まれ、健康日本21の1日あたりの目標摂取量である野菜350gからは、400μgの葉酸の摂取が可能とされている。ただし、葉酸は熱に弱く水溶性のため調理法によっては50%近くが失われてしまう。調理せずに食べられるマンゴーやオレンジ、キウイなどの果物からは効率よく摂取できる。葉酸を含む栄養素のバランスのよい食生活を心がけ、不足するような場合は栄養機能食品等を利用するのもよいだろう。