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Fruit Safety -フルーツセーフティ-

ご質問にお答えします!

テーマ別Q&A(安全性について)

残留、農薬、添加物

Q2輸入イチゴでジャムを作ったら、黒っぽくなってしまいました。農薬のせいでしょうか?
Q4輸入かんきつでマーマレードを作っても大丈夫ですか?
Q5レモンの皮は安全ですか?また、オレンジの皮を料理やお菓子作りに利用しても大丈夫でしょうか?
Q6マーマレードを作るとき、オレンジの果皮を塩水につけるのはなぜでしょうか?
Q7市販のオレンジや夏みかんなどの皮で手作りママレードを作る時、農薬は気にしなくてもよいのでしょうか?
Q8かんきつ類に使用される防かび剤は、果肉まで浸透するのですか?
Q9かんきつ類の果皮に白い斑点がついていましたが、これは農薬でしょうか?
Q10かんきつ類やバナナについて防かび剤(防ばい剤)の表示がされていないものがありますが、これは使用していないということですか?
Q12紅茶に入れるレモンは、皮をむいたほうがよいのですか?
Q16グレープフルーツを食べたら、くちびるがヒリヒリしました。農薬ではないでしょうか?
Q21梅雨でもかびないサクランボがあると聞きましたが、農薬がついているせいですか?
Q22輸入サクランボやブドウは、皮をむかずに口にしても大丈夫ですか?
Q25生のパイナップルを食べたら、舌がピリピリと痛くなりました。農薬ではないかと気になります。
Q32バナナは軸より1cm切って食べるほうが安全と聞きましたが、本当ですか?
Q33輸入植物検疫で害虫が見つかり、くん蒸されたバナナは安全ですか?
Q44果物を食べた時に、苦味や渋味を感じることがありますが、農薬が残っているのか気になります。
Q45輸入果物には、農薬が多く残留していないか心配です。本当はどうなのでしょうか?
Q46水洗いで農薬はどのくらい落とせますか?
Q47私たちは、実際にどれだけの農薬を口にしているのでしょう?
Q48果物にワックスを使用するのはなぜですか?それは食べても安全なのですか?
Q971-MCP剤は、どのような資材なのでしょうか?また、どのように取り扱えばよいのでしょうか?
Q98農薬と医薬品とどう違うのですか?

農薬の種類や使用法

Q27パイナップルが店頭に並ぶまでにどんな農薬や肥料が使われていますか?
Q48果物にワックスを使用するのはなぜですか?それは食べても安全なのですか?
Q49農薬を使用せずに果物は作れないでしょうか?
Q50生物農薬とはどんなものですか?
Q51諸外国の農薬使用量を比較した資料はありますか?
Q52なぜ外国では、収穫後に農薬を使うのですか?
Q53ポストハーベスト農薬はどのような場合に使用されるのでしょうか?
Q54有機農産物にはまったく農薬が使われていないのですか?

農薬等に関する法、制度

Q55果物の残留農薬検査は、どのように行われているのでしょうか?
Q56果物の残留農薬検査では、どの部分を検査するのですか?
Q57日本で許可されていない農薬がどうして海外では許可されているのですか?
Q58米国で使用禁止になった農薬を、日本では許可しているようですが・・・
Q59農薬取締法に基づく「登録保留基準」と食品衛生法に基づく「残留農薬基準」は今後どのように設定されることになるのでしょうか?
Q60残留農薬基準値の「1.0」と「1」には、どのような違いがあるのですか?
Q61コーデックス委員会では残留農薬についてどこまで定められているのですか?また、どのように基準が検討されるのでしょうか?
Q971-MCP剤は、どのような資材なのでしょうか?また、どのように取り扱えばよいのでしょうか?

植物検疫

Q33輸入植物検疫で害虫が見つかり、くん蒸されたバナナは安全ですか?
Q62植物検疫の今後のあり方について教えてください
Q63最近いろんなフルーツを見かけるようになりました。
Q91緑色のゴルフボールのような皮をもつ、酸味の強いペルー産のレモンは日本に輸入されていますか?

その他

Q9かんきつ類の果皮に白い斑点がついていましたが、これは農薬でしょうか?
Q14グレープフルーツジュースで降圧剤を飲むのはよくないと聞きましたが・・・
Q36バナナの芯の部分が黒かったのですが、食べても大丈夫でしょうか?
Q40ピオーネの枝の部分に白い綿のようなものがついているのですが、これは何ですか?直接実についているわけではありませんが、枝から実にかけての部分にふさふさとついています。
Q64植物自身が農薬のような物質を作り出しているというのは本当ですか?
Q65かびぐらい食べても大丈夫ではないですか?
Q66輸入青果物からO157に感染する恐れはありませんか?
Q67自然のままの食品にもホルムアルデヒドのような有害物質が含まれていると聞いたのですが・・・
Q90植物が病害虫などのストレスを受けると、防御物質を出すそうですが、アレルギーの原因になることもありますか?
Q94果物の種を飲み込んでしまっても、からだに影響はありませんか?
Q2.

輸入イチゴでジャムを作ったら、黒っぽくなってしまいました。農薬のせいでしょうか?

果物や野菜には、黄色や紅色のカロチノイド色素、緑色の葉緑素の他に、赤色や紫色のアントシアニン色素が含まれています。このアントシアニン色素は、酸性ではきれいな鮮紅色になりますが、アルカリ性では濃青色や紫色になる性質があります。

イチゴは、品種にもよりますが、輸入、国産を問わず生食用のものには香りや甘味が強くても、酸の量 が少ないものがあります。酸の少ないイチゴでジャムと作ると、アントシアニン色素が黒っぽい色やあせたような色になってしまうことがあります。ジャムを作る前に食べてみて、酸味の少ないイチゴには、レモン汁を加えてジャムを作ると、鮮やかな赤い色にできあがります。せっかく作ったジャムが黒っぽい色でがっかりなさったことでしょうが、それは農薬のせいではありません。

ゼリー状のおいしいジャムを作るには、イチゴのように、ペクチンという植物の細胞膜を形成している成分がたくさん含まれている果 物が適しています。そして、溶け出してきたペクチンの粘性を高めてどろりとさせ、きれいな赤い色に仕上げるためには、砂糖と酸が必要です。市販されているジャムにも、クエン酸、アスコルビン酸などの有機酸やペクチンなどを添加しているものがあります。

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Q4.

輸入かんきつでマーマレードを作っても大丈夫ですか?

果皮ごと料理に使っても問題ありません。

輸入かんきつ類は、輸送・保管中にカビが生えたりしないように、収穫後に防かび剤を使用することがあります。収穫後に使用されるため、マーマレードなど、果皮を料理に利用する場合、安全性について心配する声を耳にします。

食品衛生法では、かんきつ類は丸ごとそのまま料理に使っても健康に影響をおよぼさないように、果皮も含めた全果に残留基準を設定しています。また、残留農薬検査では、洗わずに、果皮を剥かない状態の農産物を検体にしており、丸ごとの安全性がチェックされています。検査結果を見ても、国産品、輸入品とも、残留農薬の検出率は2%未満(表参照)という低いレベルですから、果皮ごと料理に使っても問題はありません。

また、マーマレードを作る過程で、ゆでこぼしや水洗い、加熱などの処理をすることで、農薬の残存率が減少している調査結果がありますのでご紹介します。この調査では、レモンの果皮を煮る際に、ゆでこぼし、すすぎ洗いをした後に、果汁、水分、砂糖などを加えて加熱しマーマレードを作成しています。この処理によって、調理前の農薬の残存率を100%とすると7農薬中4農薬は0%に減少し、3農薬では22%〜44%に減少したことが分かりました(津村ゆかりほか、食品衛生学雑誌第33巻 258-266より)。

また、つやだしや品質保護に使われるワックスは、それ自体、食べても安全なやし油などを使用していますが、これも、加熱すると表面に浮き上がってくるので、ゆでこぼすことでほとんどなくなります。

平成13年度 農産物中の残留農薬検査結果
  国産・輸入 検査農薬数 検査件数 検出数 検出率 違反件数
オレンジ
(ネーブルオレンジ)
を含む〔全果〕
国産 106 247 3 1.21% 0
輸入 245 9739 114 1.17% 0
レモン〔全果〕 輸入 234 7291 102 1.40% 0

(社)日本食品衛生協会「平成16年度版 食品中の残留農薬」より作成

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Q5.

レモンの皮は安全ですか?また、オレンジの皮を料理やお菓子作りに利用しても大丈夫でしょうか?

レモンやオレンジの皮に残留する可能性があるのは防かび剤として使われることもある食品添加物です。これについては、厚生労働省が食品添加物の使用基準を定め、きちんと遵守されているかどうかチェックしています。

この基準を設定するにあたっては、各食品に基準値の上限まで添加物が残留していると仮定した場合に、それらの食品を経由して摂取される量の合計がADI(※)を超えることのないように定められます。

東京都が行っている防かび剤の検査結果によると、OPP(オルトフェニルフェノール)やTBZ(チアベンダゾール)などは、ほとんどのものからは検出されず、検出されたとしてもごく微量です。

このごく微量に残っているかもしれない防かび剤も、水洗いすることで、除去されます。衛生的な面 からもよく水洗いすることは大切です。

レモンの皮をむいて出す飲食店もあるようですが、かんきつ類の香りの成分は、皮に含まれる精油中に溶けこんでいます。紅茶にレモンを入れると、油が浮いたように見えることがあります。それが香りを放っているのです。レモンの皮をむいてしまっては、せっかくの香りを楽しむことができません。

オレンジの皮もレモンと同様に心配ありません。よく洗って、マーマレードやピールなどお作り下さい。

(※)ADI(一日摂取許容量)

「人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康に影響を及ぼさないと判断される量」通常長期の動物実験から、投与した農薬が何ら影響を及ぼさない量を求め、さらにその量に安全係数(通例1/100)を乗じて設定されます。

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Q6.

マーマレードを作るとき、オレンジの果皮を塩水につけるのはなぜでしょうか?

A. 苦味抜きのためです。

マーマレードのおいしさのひとつにかんきつ類の果皮の苦味があります。しかし、そのままの果皮でマーマレードを作ったのでは苦味が強すぎるので、苦味抜きをします。果皮を塩水につけるのも苦味抜きのひとつで、塩水と果皮との浸透圧差により細胞中の苦味成分が皮の外に出ていくと考えられます。ゴーヤなど苦味のある野菜を料理するときに、塩もみをするなどして苦味を取り除くのと同じです。

かんきつ類の果皮の苦味のもとはナリンギンやリモニンといった成分で、最近では機能性成分として注目を集めています。これらは果皮に多く含まれるので、マーマレードなどのように果皮を食事に組み込むことで効率よく摂取できるでしょう。

果皮を食べる場合、防かび剤や農薬が気になることもありますが、かんきつ類は、食品衛生法で果皮も含めた丸ごとの状態で残留基準を設定しています。そして、洗わずに果皮つきのまま残留農薬検査をし、安全性をチェックしています。平成14年農産物中の残留農薬検査結果によると、輸入オレンジで残留農薬が検出されたのは、わずか1.1%という低い検出率でした。東京都が平成16年度に実施した検査結果によるとオレンジで、イマザリル、OPP、チアベンダゾールといった防かび剤で基準を超えて残留したものはありませんでした。

果皮を水洗いしたり、ゆでこぼしたりすることで残存率が減少することも確認されていますので、果皮ごと料理に使ってもまったく問題ありません。

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Q7.

市販のオレンジや夏みかんなどの皮で手作りママレードを作る時、農薬は気にしなくてもよいのでしょうか?

農薬は一般的に皮に残りやすいので、料理やお菓子に皮を使うとき心配される方もいます。

しかし食品衛生法に基づく残留農薬基準は、オレンジやレモンでは、果肉の部分だけでなく皮などを含めた丸ごとの果実が対象になっています。つまり丸ごと食べても安全なように管理・規制されていますので、皮だけ食べるママレードなどでも気にされることはないでしょう。

詳しくは「輸入かんきつでマーマレードを作っても大丈夫ですか?」をご覧下さい。

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Q8.

かんきつ類に使用される防かび剤は、果肉まで浸透するのですか?

収穫した農産物の腐敗を防止する目的で使用される薬剤は、食品衛生法第2条により、「食品添加物」とみなされます。

かんきつ類に防かび剤として使用が認められているのは、ジフェニール(DP)、オルトフェニルフェノール(OPP)及びそのナトリウム塩(OPP-Na)、チアベンダゾール(TBZ)、イマザリルです。

これらは、いずれもADI(1日摂取許容量)を大幅に下回るように使用基準が定められており、安全性は確保されています。実際の使用方法は、DPの場合は紙に浸して容器に入れ、その他の物は果 皮に散布するので、果肉の中にはほとんど浸透しないと考えられます。

厚生労働省では、農産物の残留検査をする場合、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどのかんきつ類は、果実全体を洗わずに検体とするように定めています。つまり、実際に食べる果肉部分だけでなく、果皮も含めた全果が検査の対象になります。従って、かんきつ類から防かび剤が検出されたとしても、果肉中にどのくらい浸透しているのかを見極めることはできません。

しかし、東京都が平成13年度に、かんきつ類などについて、上記の防かび剤の残留検査をしたところ、基準値を超えたものは1件もありませんでした。また、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライムなど6品目について、イマザリルが果肉中にどのくらい残っているかを検査していますが、まったく検出されないか、検出されても検出限界に近いほどごく微量でした。(注:DPは現在、製造されていません。)

詳しくは「東京都の統計(くらしの衛生特集号 食品衛生データブック2002)」をご覧ください。

品名 原産国 検査
検体数
イマザリル
[使用基準は5ppm]
OPP
[使用基準は10ppm]
検出
検体数
検出
最小値
(ppm)
検出
最大値
(ppm)
検出
検体数
検出
最小値
(ppm)
検出
最大値
(ppm)
オレンジ
(全果)
アメリカ 15 12 0.0006 1.1 0 0.0006
オーストラリア 3 2 0.0002 0.0006 1 - -
南アフリカ 2 1 0.42 0 - -
オレンジ
(果肉)
アメリカ 4 1 0.06 0 - -
オーストラリア 2 0 - - 0 - -
レモン
(全果)
アメリカ 15 6 0.0012 1.4 2 0.0006 0.0013
チリ 1 1   1.4 0 - -
レモン
(果肉)
アメリカ 6 4 0.01 0.08 0 - -
チリ 1 1 0.03 0 - -
グレープ
フルーツ
(全果)
アメリカ 21 12 0.0001 0.80 2 0.0009 0.0013
イスラエル 1 1 0.45 0 - -
南アフリカ 2 1 0.65 0 - -
スワジランド 1 1 0.55 0 - -
グレープ
フルーツ
(果肉)
アメリカ 4 1 0.02 0 - -
イスラエル 1 0 - - 0 - -
南アフリカ 2 1 0.03 0 - -
スワジランド 1 1 0.02 0 - -

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Q9.

かんきつ類の果皮に白い斑点がついていましたが、これは農薬でしょうか?

農薬ではなく、食品添加物の光沢剤と考えられます。グレープフルーツ、レモン、オレンジなどのかんきつ類には、新鮮さを保つために光沢剤が使用されることがあります。かんきつ類の果皮に光沢剤を塗布することにより、つやのある被膜をつくり、水分の蒸散を防ぎ、品質を保持するためです。

めったにないことですが、かんきつ類に光沢剤が均一に塗布されなかったため、その後乾燥して光沢剤が固結してしまったものと思われます。このような状態になったものが白い斑点として現れたのでしょう。安全上の問題はありません。

光沢剤は、天然物由来のワックスと樹脂に分類されます。植物性ワックスではブラジルロウヤシから作られるカルナウバロウ、ミツバチの巣から作られるミツロウ、天然樹脂ではラックカイガラムシが樹液を吸って分泌した物質であるシェラックなどがあります。いずれも長い食経験があり、国際的にも広く使用されています。

こういった光沢剤はかんきつ類以外にも糖衣菓子、甘栗、キャンデー、チョコレート、チーズ、ガムベースなどに、防湿、つや出し、品質保護などを目的として使用されています。また、カルナウバロウやミツロウは、口紅の主成分としても使われています。

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Q10.

かんきつ類やバナナについて防かび剤(防ばい剤)の表示がされていないものがありますが、これは使用していないということですか?

かんきつ類やバナナには、カビの発生を防ぐため、食品添加物として防かび剤を使用することが食品衛生法により認められていますが、使用した場合には容器包装入りのものについては使用の旨を表示することが義務付けられています。

容器包装入りで防かび剤使用の表示がないものは、その農産物に防かび剤が使用されていないことを意味します。ばら売りの場合でも、防かび剤を使用した場合はその旨表示するよう行政当局による指導が行われています。

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Q12.

紅茶に入れるレモンは、皮をむいたほうがよいのですか?

日本人が、紅茶に入れるレモンの皮をむくようになったのは、どうしてかご存知ですか?

それは輸入レモンに使用されていたOPP(殺菌剤)が、食品添加物に指定された1977年に端を発します。ついで、1988年頃に、ベトナム戦争で使用された枯れ葉剤の成分である2,4-D(除草剤)が、かんきつ類に使用されているとマスコミが誤って報道したため、「レモンは皮をむいたほうがいい」と盛んにいわれるようになりました。

いまでも、レモンティーを注文すると、レモンの皮をむいてくるホテルや喫茶店があります。では、本当に紅茶に入れるレモンは、皮をむいたほうがいいのでしょうか。答えは「ノー」です。

輸入レモンの皮に残留する可能性のある農薬や、収穫後に使用される食品添加物については、厚生労働省が残留農薬基準や食品添加物の使用基準を定めています。その基準が遵守されているかどうかは、輸入時に厚生労働省検疫所が水際でチェックしています。ただ、「だから安心です」といっても納得しない人もいますので、もう少しご説明しましょう。

買ってきたレモンを紅茶に入れる前に、洗わない人はほとんどいないはずです。ごく微量 に残っているかもしれない農薬も、このように水洗いするだけで、そのほとんどは流されてしまいます。さらに、農薬には揮発性の物質が多いので、熱い紅茶に入れると、すぐに飛んでしまいます。ですから、レモンティーから私たちの口に入れる農薬の量は、ほとんどないに等しいといってよいでしょう。

むしろ、レモンの皮をむくことで、失っているもののほうが多いくらいです。例えば、レモンの香気成分は、皮に含まれる精油の中に溶け込んでいます。紅茶にレモンを入れると、まれに油が浮いたように見えますが、あれが香りを放っているのです。せっかく香りを楽しもうとしてレモンティーを飲んでも、そこに入れるレモンの皮をむいてしまっては、もともこもなくなってしまいます。

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Q14.

グレープフルーツジュースで降圧剤を飲むのはよくないと聞きましたが・・・

(社)日本薬剤師会によると、たしかに降圧剤の中には、グレープフルーツジュースとの飲み合わせが問題となるものがあるそうです。高血圧の人が服用する降圧剤には、主要なものが3種類あります。1.β-遮断剤、2.ACE阻害剤、3.カルシウム拮抗剤ですが、このうち問題となるのは3のグループ です。

人が薬を服用すると、肝臓などを中心に薬物代謝酵素が働き、薬を無毒化しようとします。ところが、カルシウム拮抗剤をグレープフルーツジュースといっしょに服用した場合、グレープフルーツジュースによって、この酵素の作用が抑制されることがあるのです。その結果、薬がうまく分解されず、薬の作用が強く出て、血圧が低下しすぎる恐れがあります。そして、副作用発現の原因ともなりかねません。

このような薬と食品、また薬同士の「飲み合わせ」について、病院や薬局で薬を渡す時に説明したり、大衆薬の場合は、使用上の注意で「水で服用する」などと記載したりしているので、こうした指示を守ることが大切でしょう。

今回の質問は果実のグレープフルーツではなく、そのジュースについてのものですが、現在何らかの薬を服用していて、飲み合わせが気になる方は、お医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。

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Q16.

グレープフルーツを食べたら、くちびるがヒリヒリしました。農薬ではないでしょうか?

グレープフルーツには、独特の苦味があります。この適度な苦味が風味をいっそう引きたてていることも、グレープフルーツが日本人に好まれる理由のひとつとなっています。

この苦味の成分は、ナリンギンというフラボノイドの一種です。かんきつ系果物には、リモノイドというもうひとつの苦味成分が含まれています。これは、ほとんどすべてのかんきつ類に含まれているのに対して、ナリンギンは、ナツミカン、ブンタン、ハッサク、グレープフルーツなどの特定のかんきつ類にしか含まれていません。これらは、いずれも特有の風味を持っているのえ、なるほど、と思う人もいるのではないでしょうか。

まだ若いグレープフルーツを食べて、ごく稀にヒリヒリ、チクチク感を感じることがあるのは、このナリンギンによるものです。

ナリンギンの結晶は細く先端の鋭い針状の結晶で、皮膚の弱い人などでは、刺激を受けてヒリヒリしたり、かゆみを感じたりすることがあるようです。

同様の針状結晶を持つ果物成分としては、キーウィフルーツやパイナップルなどに含まれるシュウ酸カルシウムがあります。特にパイナップルは、合わせ持つたんぱく質分解酵素(ブロメライン bromelin、別名ブロメリン)の作用もあって、皮膚の弱い人では刺激を受けることがあるようです。このような刺激によるヒリヒリを、専門的には「刺激性接触皮膚炎」と呼んでいます。

ナリンギンもシュウ酸カルシウムも、グレープフルーツやパイナップルなどの常在成分で、安全性には問題はありません。これらの成分は、まだ若い果 物に多い傾向がありますので、刺激に弱い人は、なるべくよく熟した果物を選んで食べるようにした方がよいでしょう。

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Q21.

梅雨でもかびないサクランボがあると聞きましたが、農薬がついているせいですか?

国産のサクランボにも、米国産のサクランボにも、かびが生えないとか、ひからびるだけで腐らないという話は聞いたことがあります。それは、どのような方法で保存しておいたのでしょうか。

サクランボの主要生産地である、山形県の園芸試験場に問い合わせてみましたが、やはりサクランボは腐りやすく、市場に出しても3〜4日しかもたないので、困っているということでした。品質管理に気をつけても、日持ちするのは、せいぜい収穫から1週間といったところではないでしょうか、ということでした。

一方、米国産のサクランボも、傷みやすいのでほとんどが航空便で運ばれてきますが、やはり日本に到着してから10日程度で、商品価値がなくなってしまうようです。

みなさんが心配される農薬の残留については、生産地がどこであろうときちんと管理されているはずです。国産のサクランボには、収穫の前日まで、黒かび病や灰星病に効果 のあるイプロジオンという殺菌剤の使用が認められていますが、日本へ輸出されるものについては、収穫後の使用は、厚生労働省が許可していません。厚生労働省の残留農薬検査でも、国内外を問わずサクランボのイプロジオンは検出されないか、検出されても、基準の10ppmに対して0.1ppm前後と、ごく微量であるという結果が出ています。

では、なぜ国産や輸入のサクランボで、かびないものがあるのでしょうか。考えられるのは、サクランボをひとつまたは少量だけ取り出して、放置しておいた場合です。

サクランボにかびが生えるケースのほとんどは、表面が濡れたり湿ったりしているときです。たとえ濡れていなくても、まとめてパックや袋に入れて保存しておくと、温度変化などで容器包装内の水分が結露して、水滴になります。けれども、ひとつまたはほんの少数なら、多少は湿度のある室温にむき出しで放置しておいても、水滴はつかずに、かびが発生する可能性はかなり少なくなります。水分が失われてひからびてしまえば、ほとんどかびは生えなくなります。

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Q22.

輸入サクランボやブドウは、皮をむかずに口にしても大丈夫ですか?

輸入果物に対して、「ポストハーベスト農薬が使われている」とか、「農薬が多く残留している」という不安をもっている人は、少なくないようです。そのため、皮をむかずに食べる輸入サクランボや、皮ごと口にすることもある輸入ブドウを敬遠する人もいるのではないでしょうか。

厚生労働省が平成16年に公表した「平成12・13年度農産物中の残留農薬検査結果によると、輸入・国産を問わず、農産物の約99%からは農薬は検出されていません。検出されても大部分は残留基準をはるかに下回るほど、ごく微量です。

また、(社)日本植物防疫協会の資料によると、普通に水洗いするだけで多くの農薬が除去できる、という試験結果「洗浄・調理による残留農薬の減少」が示されています。特にサクランボの灰星病の防除に使用されるイプロジオンという水溶性の殺菌剤などは、トマト、ナス、キュウリなどの果菜類の場合、水洗いで77%が除去できるということです。普段、果物を食べるときに、洗わずに食べる人がどれくらいいるでしょうか。特に皮ごと食べるような果物は、誰でも、まず水洗いするのではないでしょうか。

輸入果物だからといって、特に農薬が多く残っているということはありません。また、国産・輸入を問わず、ごくわずか残っているかもしれない農薬も、食べる前に水で洗えば、そのほとんどが除去されますし、衛生的です。

ですから、輸入のサクランボやブドウでも、皮ごと口にしても大丈夫です。

洗浄・調理による残留農薬の減少(減少率%)
農薬名 水洗 煮る 炒める 焼く 蒸す 漬ける
DDVP 67 - - - - -
DMTP 46 - 21 65 71 -
ESP 50 - - - - -
PAP 37 51 37 31 - 11
PCNB - - - - - 11
TPN 63 99 89 - - 50 1)
イプロジオン 77 15 19 - 12 17
キノキサリン系 81 - - - - -
ジメトエート 45 - - - - -
スルフェン酸系 93 - - - - -
ビンクロゾリン 18 51 47 - - -
プロシミドン 48 - 56 66 0 -
メソミル 15 2) - - - - 80 1)

注:供試作物は「1)」がハクサイ、「2)」がキャベツの他は果菜類(トマト、ナス、ピーマン、キュウリ) 植物防疫講座第2版−農薬・行政編より

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Q25.

生のパイナップルを食べたら、舌がピリピリと痛くなりました。農薬ではないかと気になります。

よく熟した、生のパイナップルはとてもおいしいものですが、舌にピリピリとした刺激を感じることがあります。

それは、パイナップルに含まれているブロメライン(bromelin, 別名ブロメリン)という強力なたんぱく質分解酵素が、舌の粘膜を刺激するためではないかといわれています。缶詰のパイナップルを食べても舌がピリピリしないのは、加熱によって酵素の働きが失われてしまったからです。

ブロメラインは、お料理をするときにも、他の食材に対していろいろな働きをします。例えば、肉とパイナップルをいっしょにさっといためたり、付け合わせに用いると、肉を柔らかくし、消化もよくなります。一方、生のパイナップルを使ってゼリーを作ると、この酵素によってゼラチンが分解され、固まらなくなってしまうことがあります。この場合は、あらかじめパイナップルを加熱して、酵素の働きを失わせておく必要があります。パイナップルからブロメラインを抽出して、肉を柔らかくするための食品添加物がつくられているほどです。

その他にも、パパイヤにはパパイン、キーウィフルーツにアクチニジン、イチジクにフィシン、メロンにククミシンなどのたんぱく質分解酵素が含まれています。これらの果物を食べたときに、刺激を感じることがありますが、いずれも農薬とは全く関係ありません。

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Q27.

パイナップルが店頭に並ぶまでにどんな農薬や肥料が使われていますか?

日本国内で使用される農薬は、農薬取締法により規制されています。パイナップルに使用できるものは、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、その他ホルモン剤やくん蒸剤、あわせて40品目あります。

沖縄県農業研究センター名護支所パイン研究室によると、日本で使用される主な農薬は、殺虫剤ではジメトエート乳剤、スプラサイド乳剤、スミチオン乳剤(パイナップルコナカイガラムシ)、殺菌剤ではオーソサイド水和剤、アリエッティ水和剤(根腐萎凋病、心腐病)です。パイナップルの栽培は比較的農薬の散布が少なく、散布回数は1期に2回程度だそうです。

海外で作られている農作物には農薬取締法は適用されませんが、食品衛生法により、基準を超えて農薬が残留する食品が流通することがないよう、輸入時に監視指導や検査がおこなわれています。

国産の農作物も食品衛生法により監視されていますので、輸入、国産を問わず、店頭に並ぶパイナップルまたはその他の青果物に、基準を超えて農薬が残留しているものはほとんどありません。

肥料としては、窒素、りん酸、カリウムの3成分が必須で、日本ではパイン2号(N:P:K=12:6:12)、化成898号(N:P:K=18:9:18)、BB474号(N:P:K=14:7:14)などが使用されています。

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Q32.

バナナは軸より1cm切って食べるほうが安全と聞きましたが、本当ですか?

「バナナは軸から1cmくらい切り捨てるのが、安全な食べ方だ」という説は、たびたび雑誌などでも紹介されています。その理由は、「バナナに使用されている農薬は、軸に残留しやすく、軸の切り口からしみ込むため」ということのようです。

なんとなく納得してしまいそうな説ですが、これを裏付ける根拠は見当たりません。それどころか、東京都立衛生研究所が実施したバナナの残留農薬に関する実態調査によると、「バナナの残留農薬は、軸のほうに多いとはいえない」という結果が出ています。 同研究所では、バナナの房から図のように外側3本、内側2本をとり、「軸に近いほう」、「真中」、「先端のほう」と、それぞれ3cm幅の輪切りに切り取り、殺菌剤のビテルタノールがどれだけ残留しているかを分析しました。

なお、比較検討するため、2房分、計10本を検体としました。その結果、1房のバナナでも1本ごとに、また同じ1本でも部位によって、かなりのばらつきがみられました。したがって、バナナに使用された農薬が、どの部位に多く残留するなどということはいえず、「軸から1cm切るほうが安全」という説は、なんの根拠もないということがわかりました。

バナナの残留農薬は、実際に食べない皮も含めた全果で検査することになっているのですが、農薬が検出される率は低く、検出されたとしてもごく微量です。ましてや果肉の部分には、農薬はほとんど残留していません。バナナは、栄養価も高く、がん予防などに関する新たな機能性成分も研究されています。切り捨てたりせず、無駄なく食べることをおすすめします。

参考資料:食品衛生学雑誌 第36巻 第3号

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Q33.

輸入植物検疫で害虫が見つかり、くん蒸されたバナナは安全ですか?

安全です。バナナに限らず、日本に輸入される植物(果物はもちろん、野菜、穀類、苗木、球根、切り花、木材など)は、輸入時に植物防疫法に基づく植物検査を受けなければなりません。この検査で、特定の害虫や病気が発見された場合は、輸入者は、その植物の廃棄、返送、消毒のいずれかを選択することとなります。

消毒の方法の一つに、くん蒸があります。くん蒸は、農薬を密閉された倉庫の中でガス化して害虫を殺すものです。

くん蒸に使用される農薬には、臭化メチル、シアン化水素(青酸ガス)、リン化アルミニウムなどがあり、植物の種類と発見された害虫の種類によって使い分けられます。

くん蒸を行うにあたっては、(1)十分な殺虫効果が得られること、(2)植物に障害が出ないこと、そして(3)食用とする場合は人間にとって害がないことを考慮した上で、薬量と処理の時間が定められています。

バナナをはじめ果物、野菜などにはシアン化水素が使われることが多いのですが、シアン化水素は常温では気体であり、揮発性が高いので、くん蒸した後、植物の中に残留して検出されることはありません。このため、消費者にとって安全性が高いものといえます。また、臭化メチルの場合はわずかながら植物の中に臭素が残留することもありますが、食品衛生法に定められた残留農薬基準を下回るものですから、問題はありません。

くん蒸は作業に従事する人にとっては十分注意すべきものですが、食品としての安全性の面では何ら心配はないといえます。

なお、輸入青果物は、植物検疫の検査の後、食品衛生法に基づく検査があり、さらに市場に出てからも、地方自治体の食品衛生監視員による検査で、安全性がチェックされています。

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Q36.

バナナの芯の部分が黒かったのですが、食べても大丈夫でしょうか?

A.バナナの芯の部分が黒くなっていることがまれにありますが、食べても安全上の問題はありません。

バナナの先端部分(花がついていたところ)は、受精後に硬く閉じた状態となり、タンニンという成分が多くなって果肉の芯の部分まで黒くなることがあります(写真1)。タンニンはお茶などにも含まれるポリフェノールの一種ですので、食べても問題はありません。

そのほかにも、芯の周りや果肉の一部が黒くなることがあります(写真2)。これは、梱包や輸送などの作業によって外から圧力が加わったり振動を受けたりした場合、果肉の細胞壁が壊れ、タンニンが酸化酵素と反応して黒くなる生理現象です。

バナナ

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Q40.

ピオーネの枝の部分に白い綿のようなものがついているのですが、これは何ですか?直接実についているわけではありませんが、枝から実にかけての部分にふさふさとついています。

白い綿のようなものは、カイガラ虫が脱皮したあとではないかと思われます。実の部分についていなければ、食べても大丈夫です。

また、これとは別に、ピオーネや巨峰などの実の表面に白い粉がついていることがありますが、これはブドウの糖分が果皮に出てかたまったもので、「ブルーム(果粉)」といわれます。天然成分であり、むしろ新鮮な証拠ともいわれるので、もちろん食べても大丈夫です。

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Q44.

果物を食べた時に、苦味や渋味を感じることがありますが、農薬が残っているのか気になります。

果物に天然に含まれる苦味や渋味成分によるものと思われます。果物の苦味成分としては、グレープフルーツのナリンギンやかんきつ類全般に含まれるリモニンなどが知られています。適量の苦味は、味に深みを与えたり、果物特有の風味をつくり出しますが、人によっては、苦味を強く感じることもあるようです。

一方、渋味成分としては、渋ガキや未熟な果実に多く含まれるカテキン類があります。果物に含まれる主なカテキン類は、カテキン、エピカテキン、プロアントシアニジンなどです。渋味とは、収れん性の刺激で、舌の粘膜たんぱく質を凝固させるような物質によっておこる感覚です。強すぎると不快感を与えますが、わずかな渋味は独特の風味となります。

これらの苦味、渋味成分は、一般的に果実の未熟なうちは量が多く、熟するにつれて徐々に減少していきます。しかし、同じ熟度の果物を食べたときでも、どの程度の苦味を感じるかは人それぞれですし、そのときの体調によっても味の感じ方は異なります。栽培中の天候による生理障害で、通常より苦味、渋味成分が多くなることもあるようです。

果物をおいしく食べるには、適度に熟したものを選ぶことが大切です。なお、食べごろの果実でも、果実に含まれるたんぱく質分解酵素が、舌にピリピリした感覚を与える場合もあります。

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Q45.

輸入果物には、農薬が多く残留していないか心配です。本当はどうなのでしょうか?

輸入果物に、農薬が多く残留しているということはありません。

東京都が、平成12年に農産物中の残留農薬実態調査を行った結果(平成14年3月発表)を紹介しましょう。都は、127種類の農薬について検査を行い、984検体(国産313、輸入671)中、166検体から農薬を検出しました。その結果、国産品で果実(ナシ)で違反がありましたが、輸入品ではすべてが食品衛生法により定められた残留農薬基準を下回っており、問題はなかったということです。

厚生労働省では、輸入食品の安全性を確保するために、3段階のハードルを設けて監視を強化する対策を進めています。第一段階は、輸出国における輸出時の検査、第二段階は、輸入時の検疫検査です。そして第三段階として、国内に流通した農産物について、地方自治体に所属している食品衛生監視員が、店頭からサンプリングして検査をします。

もしも、違反が発見された場合は、ただちに厚生労働省や都道府県に連絡され、回収・廃棄などの措置がとられます。また、輸入者による自主検査も、より一層拡充されています。

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Q46.

水洗いで農薬はどのくらい落とせますか?

女性週刊誌や料理雑誌などを見ると、こうすれば"危険な農薬は落とせる!"といった記事を目にすることがあります。農薬の除去方法として必ず書かれているのが、「水でよく洗う」というものですが、なかには「○○は塩水で洗うとよい」としておきながら、「農薬の種類によっては塩水で洗っても落ちないものもある」などと書かれているものがあります。どうしたらよいのでしょう。

ところで、みなさんのなかで、野菜や果物を食べるときに、水で洗わない人がどれくらいいるでしょう。皮をむいて食べる果物の場合は、洗わないこともあるでしょうが、皮ごと食べるものや皮のないものを調理するときには、誰でも、まず水洗いすると思います。

(社)日本植物防疫協会の資料によると、トマト、ナス、ピーマン、キュウリといった果菜類では、普通に水洗いするだけで、水溶性の殺菌剤ならイプロジオンで77%、TPNで63%、スルフェン酸系では93%が除去できる、という試験結果が示されています。油溶性の農薬は除去率が低いものの、皮をむく、煮る、炒める、焼くなどの調理で、ほとんど減少してしまいます。

東京都立衛生研究所では、輸入と国産の農産物について、毎年膨大な数の残留農薬実態調査を行っています。それによると、店頭で販売されている野菜や果物は、輸入、国産を問わず、その80%以上から農薬は検出されていません。検出されても通常は基準値をはるかに下回るほど、ごく微量です。ですから、水洗いすれば農薬はさらに減少しますし、食品衛生上も「清潔に」という観点から、よく洗うことが大切です。

洗浄・調理による残留農薬の減少(減少率%)
農薬名 水洗 煮る 炒める 焼く 蒸す 漬ける
DDVP 67 - - - - -
DMTP 46 - 21 65 71 -
ESP 50 - - - - -
PAP 37 51 37 31 - 11
PCNB - - - - - 11
TPN 63 99 89 - - 50 1)
イプロジオン 77 15 19 - 12 17
キノキサリン系 81 - - - - -
ジメトエート 45 - - - - -
スルフェン酸系 93 - - - - -
ビンクロゾリン 18 51 47 - - -
プロシミドン 48 - 56 66 0 -
メソミル 15 2) - - - - 80 1)

注:供試作物は「1)」がハクサイ、「2)」がキャベツの他は果菜類(トマト、ナス、ピーマン、キュウリ) 植物防疫講座第2版−農薬・行政編より

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Q47.

私たちは、実際にどれだけの農薬を口にしているのでしょう?

残留農薬の安全性は、私たちの口に入る農薬の質と量によって評価されます。ですから、農薬の残留基準は、口に入る量がADIを下回るように設定してあるのです。その残留農薬も、都道府県が行った実態調査などを見ると、大半の農産物からは検出されず、検出されたとしてもごく微量で、基準値よりもかなり低いレベルでしかないことがわかっています。

では、実際に日常の食事を通して体内に取り込まれる農薬の量はどれだけでしょう。これを調べるにはマーケット・バスケット調査という方法があります。これは、日本人の平均的な献立を作り、その献立に沿って、実際に食材を購入して調理して分析し、そのなかから農薬の一日摂取量を算出します。

平成15年度の調査結果によれば、各農薬で推定される摂取量は、その農薬の一日摂取許容量(ADI)に対して、8%未満であり、いずれもADIを大きく下回っていました。 現状では、このレベルであれば安全上の問題はないと考えられています。(厚生労働省調査結果)

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Q48.

果物にワックスを使用するのはなぜですか?それは食べても安全なのですか?

リンゴを手に取ったとき、表面がベトベトしていて気になったことはありませんか。リンゴは、水に溶けないろう物質(果粉=ブルーム)を分泌して、内部を保護する役目をしています。ブドウや柿なども果粉を分泌するので、表面が白く粉をふいたように見えます。リンゴの場合は、貯蔵期間が長くなると、果皮に含まれているリノール酸やオレイン酸などが増えて、これが果粉を溶かすのでベトベトしてくるのです。

ところで、収穫された果物は、ほとんどの場合、出荷前に泥やほこりを除去するために水で洗います。このとき、汚れといっしょに、自然に分泌されたろう物質もある程度落とされてしまいます。そこで、輸入、国産を問わず、内部の水分が蒸散するのを防ぎ、鮮度を保持する目的で、ワックスを使用することがあります。

ワックスは、日本では食品添加物として光沢剤に分類されています。一般には、ヤシ(パーム樹)の葉から分離・精製したカルナウバロウや、ミツバチの巣から圧搾・精製したミツロウなどが使用されます。これらの光沢剤は、長年の食経験があり、チョコレートやキャンディ、ガムなどにも使用されているので、安全性についての心配はありません。

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Q49.

農薬を使用せずに果物は作れないでしょうか?

最近、無農薬栽培の野菜や果物に対して、好印象をもつ消費者が増えているようです。たしかに、農薬を使わなくても栽培が可能な農産物もありますが、生産者にとって、無農薬は非常にリスクの大きい栽培方法なのです。また、農産物のなかには、無農薬栽培がほとんど不可能なものもあります。

(社)日本植物防疫協会が、平成3〜4年度の2年間にわたり、農薬を使用しないで栽培した場合の、病害虫などによる被害を調査しました。12の農産物を選び、22都道府県の試験場などに委託して、農薬を使用せずに栽培した場合と、農薬を適正に使用して栽培した場合について収穫量と、その販売金額がどれだけのものになるかを、実証するために試験したのです。

それによると、無農薬の場合、リンゴは減収率が平均で97.0%、出荷金額の減益率は平均98.9%。また、モモの場合では、収量皆無で出荷金額はもちろんゼロでした。つまり、「リンゴ」も「モモ」も、ほとんど全滅状態となってしまったわけです。キュウリ、トマトなどの野菜についても、同様の結果が得られています。減収率とは、農薬を適正に使用した場合の収穫量に対して、どれだけ減ったかを示したものです。

このように農薬は、病害虫や雑草による被害を防止して、安定的に農産物を生産するため、なくてはならないものであることがわかると思います。

最近の農薬は、より一層環境や農業従事者への影響を軽減するような方向で開発が進められています。具体的には、使用されたあとすみやかに分解する農薬、標的とする病害虫や雑草に特有の性質のみをアタックする農薬、などが登場してきています。もちろん、テントウムシなどの天敵を利用して害虫を駆除する方法なども行われていますが、こういった天敵も、「農薬取締法」によって農薬とみなされているのです。

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Q50.

生物農薬とはどんなものですか?

現在使われている農薬は、ほとんどが化学的に合成された物質を有効成分とした化学農薬です。これに対して生物農薬は、病害虫を侵す生物、すなわち天敵となる生物で、自然界の生物間の関りあいを、農業に活用したものです。このような病害虫の防疫に使われる生物も、農薬取締法により、農薬としての規制を受けます。

生物農薬としては、寄生バチ、捕食性ダニ、微生物などが利用されています。なかでも微生物農薬は、有効性などの面から開発研究が活発になり、諸外国での利用も多くなってきています。

微生物農薬には、細菌、糸状菌およびウィルスを利用したものがあり、それぞれの微生物の特長を活かして、製剤化されています。アブラナ科の野菜の害虫である、コナガの防除に使われているBT剤は、Bacillus thuringiensis(BT)という細菌を利用した製剤のひとつです。BT剤のついた野菜を食べてコナガの体内では、アルカリ性の消化管の中で毒素が活性化して、コナガを死滅させます。我が国では野菜、リンゴ、茶、街路樹の害虫防除用として販売されています。

生物農薬の長所としては、自然生態系への影響が少ないということが言われています。寄生バチの場合、目的とする害虫しか捕食しないハチを利用するため、その害虫が死滅してしまうと、ハチ自体も栄養源を失い死滅してしまいます。したがって、ハチだけが異常に増えることもありません。また、病害虫に抵抗性ができにくい、化学農薬との併用が可能である、などとも言われています。一方短所として、速効性を欠き、製品としての均一性・安全性で問題となる場合がある、などが挙げられています。

生物農薬の出現により、病害虫防除に対する新しい考え方が生まれています。つまり、ただ病害虫を死滅させればよいというのではなく、被害を抑えられるレベルに病害虫をコントロールするという考え方です。病害虫の防除は、品種改良の他、化学農薬、生物農薬あるいは栽培技術を総合的に組合わせることにより、環境に対する負荷のより少ない方向に進んでいるのです。

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Q51.

諸外国の農薬使用量を比較した資料はありますか?

「米国ではヘリコプターで農薬を散布するくらいだから、大量な農薬が使われている」とか、「アジアではあまり農薬を使っていないので寄生虫がいる」とかいわれることがあります。逆に、「日本は高温多湿なので、単位面積当たりの農薬使用量は諸外国より多い」という人もいます。実際はどうなのでしょうか。こんなとき、諸外国の農薬使用量を比較したデータがあると便利ですね。でも、残念ながら、各国の農薬使用量を正確に比較できるような資料はないのです。

各国の農薬使用量の統計資料が、国連食糧農業機関(FAO)により作られ、「FAO quarterly bulletin of statistics」という報告書のなかに収載されています。

これは、各国からの報告に基づき、「殺虫剤、除草剤、殺菌剤、植物成長調整剤、殺鼠剤のグループごとに、有効成分の使用量を収載した」としてあります。国によってはさらに細分化され、有機リン系、カーバメイト系などの成分ごとの数量まで記載されています。

一見すると主剤(主要な有効成分)を数量で比較した資料のように見えるのですが、解説をよく読んでみると、国によっては主剤の数量ではなく、製剤の生産量が報告されているものもあります。これでは農薬の使用量を正確に比較することはできません。製剤には、農薬成分とは言えないようなものまで含まれているからです。

そのため、日本の農林水産省は、FAOに農薬使用量を報告していません。公正に比較できない資料なら、逆に混乱を与えることにもなりかねないからです。けれども、農薬の使用量が多いからといって、その国の農産物の安全性に不安が残るとは言えません。安全性に影響するのは、その農産物を通じて私たちの口に入る農薬の量とその性質なのですから。

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Q52.

なぜ外国では、収穫後に農薬を使うのですか?

一般的に農薬とは、「農作物等を害する病害虫、雑草、ねずみ、その他を防除あるいは制御して作物を保護し、農業の生産性を高めるために使用する薬剤など」と定義されています。

このような定義には、日本も諸外国もほとんど違いがありません。異なるのは、栽培、収穫、貯蔵、加工、出荷される農作物の生産工程のなかで、いったいどこまでを「農作物」の範ちゅうに含むのか、ということです。

「農作物」の定義については、日本でもアメリカでも、法律では明確にされていません。日本では、一般的に「木からもいだり、土からひっこ抜く」前の段階を農作物と呼んでおり、一方アメリカなどでは「販売に供するために洗浄し、包装して出荷する」前の段階までを農作物と呼んでいるようです。

このため、収穫後の野菜や果物に対して、殺菌や殺虫を目的に農薬を使用することについて、日本では「食品に農薬をまぶしている」とやたらに神経質になる人がいますが、多くの外国では「農作物に農薬を使う」のは、なんの問題もないことなので、必要に応じて、加工場での使用も許容されています。これが、諸外国で収穫後に農薬が使用される最大の理由です。

このような認識を前提にして、当然のことながら「コスト」と「ベネフィット」を考慮して、収穫後の使用が最適と判断された場合には、収穫後の野菜や果物にも農薬が使用されます。たとえば、日本でもそうですが、収穫直前に使用される殺菌剤は、多くの場合、収穫後の保存期間の延長をも念頭に置いて使用されています。製品の日持向上を考えたなら、収穫前後のどちらの使用がより有効かは、考えるまでもありません。ですから、収穫後だけに許可されている農薬もあるのです。

また、営農者や環境への負荷を考えたときにも、収穫後の使用は「やさしい」使用法なのです。収穫前に使用する殺菌剤は、スプレーなどで大気中に放散されることが多いですが、収穫後に使えば加工場内の限定された範囲で使用することができます。土や川などに流れることもありませんし、営農者の曝露も少なくてすみます。収穫後に農薬が使われるのには、このような理由もあるのです。

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Q53.

ポストハーベスト農薬はどのような場合に使用されるのでしょうか?

A.収穫した農作物を病害虫の被害から守るために使用されます。

農産物が収穫されて販売・消費されるまでの時間が長い場合、害虫の食害によって品質が著しく損なわれたり食味が減じたり、またかびの繁殖によって腐敗が進み利用価値がなくなったり、ひどい場合にはかび毒が発生することもあります。

このような被害を防ぐため、収穫後に農薬を使用するのですが、栽培中の使用と違って環境中に与える影響はきわめて低く、かつ管理が容易で、目的とする効果が得られやすい利点があるので、世界中で広く行われています。

また、輸入農産物の場合、これらに寄生してわが国に侵入する恐れのある害虫を水際で阻止するという「植物検疫」のために、農薬による「くん蒸」が行われます。くん蒸は気体による防除方法であるため、これらが残留することは基本的にはあまりありません。

以上のうち、収穫後に保存性を高める目的で殺菌剤を使用することについては、食品衛生法により食品添加物とみなされています。使用できる殺菌剤は防かび剤(※)として指定され、使用できる食品や使用量の限度などの使用基準が定められるなど厳しく規制されています。なお、これらを使用する場合は、容器包装に防かび剤として「()」を付して薬剤名を表示することが義務づけられています。

(※)オルトフェニルフェノール(OPP)、オルトフェニルフェノールナトリウム(OPP-Na)、イマザリル、チアベンダゾール(TBZ)、ジフェニル

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Q54.

有機農産物にはまったく農薬が使われていないのですか?

JAS規格においてやむを得ない場合に使っていい農薬が指定されています。

有機農産物とは、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避け、環境への負荷をできるだけ減らした栽培法によって生産される農産物です。JAS法にもとづく有機JAS規格によって、播種または植付けの2年前(多年生作物の場合、収穫の3年前)から化学合成農薬を使用しないなど、生産方法の基準が定められており、これに適合していることが登録認定機関によって認められると、生産品に有機JASマークをつけることが許されます。

有機農産物は、化学合成農薬、化学肥料や化学合成土壌改良資材を使用できませんが、人手や光、熱、音を利用したり、天敵動植物を用いるなどの手段をとった上で有害動植物を防除できない場合は表に掲げられた農薬を使用することができます。また、肥料や土壌改良資材、調整用資材などについても、使用できるものが指定されています。

有機農業に使用できる農薬
除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤(除虫菊から抽出したものであって、共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないものに限ること。) 炭酸水素ナトリウム水溶剤及び重曹
なたね油乳剤 炭酸水素ナトリウム・銅水和剤
マシン油エアゾル 銅水和剤
マシン油乳剤 銅粉剤
大豆レシチン・マシン油乳剤 硫酸銅(ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。)
デンプン水和剤 生石灰(ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。)
脂肪酸グリセリド剤 天敵等生物農薬及び生物農薬製剤
メタアルデヒド粒剤(捕虫器に使用する場合に限ること。) 性フェロモン剤(農作物を害する昆虫のフェロモン作用を有する物質を有効成分とするものに限ること。)
硫黄くん煙剤 クロレラ抽出物液剤
硫黄粉剤 混合生薬抽出物液剤
硫黄・銅水和剤 ワックス水和剤
水和硫黄剤 展着剤(カゼイン又はパラフィンを有効成分とするものに限ること。)
硫黄・大豆レシチン水和剤 二酸化炭素くん蒸剤(保管施設で使用する場合に限ること。)
石灰硫黄合剤 ケイソウ土粉剤(保管施設で使用する場合に限ること。)
シイタケ菌糸体抽出物液剤 食酢

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Q55.

果物の残留農薬検査は、どのように行われているのでしょうか?

輸入青果物の残留農薬検査は、輸出時、輸入時、国内流通時の3段階で実施していますが、公正な検査結果が得られるように、いずれも共通の試験法で分析が行われています。これは公に定められたもので、公定法とよばれています。

公定法には、検査する農薬ごとに、検体の調整方法、使用機器、検出限界なども細かく定められています。厚生労働省はこれまで、229の農薬に残留基準を設定しましたが、同時にその公定試験法も告示しています。

また厚生労働省は、残留農薬基準を整備するにあたり、いままで対象にしていた農産物を53品目から130品目以上に拡大しました。農産物を種類ごとに分類し、さらに「上記以外の果実」などというような項目を設けているので、実際はほとんどすべての農産物に基準が定められているといってよいでしょう。

これらの農産物中に残留する農薬を分析するときには、それぞれどの部分をどのようにして検体とするかも定められています。これを「検体の摂取部位」と呼びます。例えばコメは玄米の段階で、さといもやじゃがいもなどの芋類は泥を水でかるく洗い落としたもの、落花生は殻を除去したもの、などとなっています。

しかし、一部には「オヤ?」と思うようなものもあります。バナナは果柄部を除去したもの、パイナップルでは冠芽を除去したもの、と決められているのです。しかし、バナナやパイナップルは、その部分だけを取り除いて、皮ごと食べる人はいないはずです。

平成6年に厚生大臣(現厚生労働大臣)の懇談会として開催された「食と健康を考える懇談会」では、このようなことに対し、実態に即して見直すべきであるとして、次のように提言しています。「残留農薬基準策定においては、現在、例えばバナナの皮など、我が国では通常食さない部分も含めて基準値を設定している食品もあるが、将来的には、食される部分の安全性をより的確に確保するため、我が国の食物摂取の実態をさらに反映したものとなるよう検討されるべきである」。

さらに、平成10年8月に、食品衛生調査会から「残留農薬基準設定における暴露評価の精密化」により残留農薬基準を設定していくことが提言され、今後はバナナの皮など非可食部の残留農薬や、調理加工による減少などを考慮するよう検討されるということです。

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Q56.

果物の残留農薬検査では、どの部分を検査するのですか?

青果物の残留農薬検査は、厚生労働省が定めている公定法と呼ばれる試験法で行うことになています。公定法では、検査結果のバラツキを少なくするために、農薬の種類や食品群別の試験法、検体の調製方法、使用する分析機器、検査手順なども細かく定めています。

検査する部位は、食品衛生法によって、農産物ごとに決められています。たとえば、リンゴは「花おち、しんおよび果梗の基部を除去したもの」、オレンジやグレープフルーツ、レモンなどは「果実全体」、アボカドは「種子を除去したもの」です。パイナップルは「冠芽を除去したもの」なので、硬い皮も含まれます。主な果実の検査部位を表に示しました。

昭和53年以前に残留農薬基準が設定された青果物については、原則として可食部を検体としていましたが、平成4年以降からは国際基準に準じているため、わが国では通常食用にしない部位も含めて検体としている場合があります。たとえば、バナナは「果柄部を除去したもの」と、皮ごと検査部位になっています。これはバナナの残留農薬基準が国際基準に準じて、皮まで含めて設定されているからです。

ナツミカンの場合は、昭和53年以前に残留基準が設定された農薬については「ナツミカンの果肉」と「ナツミカンの皮」にそれぞれ基準値が定められたため、検体も果肉と皮を別個に採取することになっています。しかし、平成4年以降に基準が設定された農薬には「ナツミカンの果実全体」を対象に残留基準が設定されています。かんきつ類の多くは、マーマレードなどにして皮も食することから、国際基準に準じて果実全体を検査部位にしていますが、ミカン(ウンシュウミカン)だけは、ほとんど皮を食さないことから、「外果皮を除去したもの」となっています。

果物の検査部位
  果実名 検査部位
 ■ 核果果実 アンズ、ウメ、オウトウ、ネクタリン 果梗および種子を除去したもの
モモ 果皮および種子を除去したもの
 ■ かんきつ類果実 オレンジ、グレープフルーツ、ナツミカンの果実全体、ライム、レモン 果実全体
ナツミカン、ミカン 外果皮を除去したもの
ナツミカンの外果皮 へたを除去したもの
上記以外のかんきつ類果実 果実全体
 ■ 仁果果実 西洋ナシ、日本ナシ、マルメロ、リンゴ 花おち、しんおよび果梗の基部を除去したもの
ビワ 果梗、果皮および種子を除去したもの
 ■ 熱帯産果実 アボガド、マンゴー 種子を除去したもの
キーウィフルーツ 果皮を除去したもの
パイナップル 冠芽を除去したもの
パッションフルーツ、パパイヤ 果実全体
バナナ 果柄部を除去したもの
 ■ ベリー類果実 イチゴ、クランベリー、ブルーベリー へたを除去したもの
ラズベリー 果実全体
上記以外のベリー類果実 へたを除去したもの

(社)日本食品衛生協会「残留農薬基準便覧」より作成

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Q57.

日本で許可されていない農薬がどうして海外では許可されているのですか?

現在、日本で登録されている農薬は約300あるといわれています。これに対して、世界のいずれかの国で使用されている可能性のある農薬は、全部で700を超えるとも言われています。日本では、農林水産大臣の登録を受けた農薬でなければ使用できませんから、約400の農薬の使用が許可されていない、ということになります。「日本で許可されていない危険な農薬」という言い方をする人もいますが、これらは安全性が確認されていないということではないのです。

各国で使用されている農薬は、その国の気候風土、発生する病害虫や雑草の種類・発生状況などにより、若干異なります。また、日本国内で栽培されていない農作物に使用される農薬も、日本では当然必要がないので、登録が申請されることはありません。つまり、外国のみで使用され、日本国内で使用する必要のない農薬は、すべて「日本では登録されていない農薬」ということであり、危険だから禁止しているのではないのです。逆に、日本では許可している農薬でも、その使用を認めていない国もあります。

近年、食料輸入の増加に伴い、日本で登録されていない農薬を使用した農産物も、輸入されるようになってきました。そこで厚生労働省では、市場に流通する農産物の安全性を確保するため、残留農薬等のポジティブリスト制度を導入することになりました。現在(平成17年11月)、250農薬に残留基準が定められていますが、平成18年5月29日にポジティブリスト制度が施行されると799農薬等に残留基準が定められ、残留基準のない農薬については0.01ppmを超えて残留する食品の流通が禁止されます。

ちょっと、わかりにくいかも知れませんが、安全性について考えるとき、場合により、法律や制度が、正確な理解を妨げることがあります。惑わされないように注意して下さい。

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Q58.

米国で使用禁止になった農薬を、日本では許可しているようですが・・・

日本では許可されていない農薬が、米国で使用されている理由については、『日本で許可されていない農薬が、どうして海外では許可されているのですか』で説明しました。

許可されていないということは「禁止されている」ということですが、それにはふた通りの理由があります。

ひとつは、その国では必要がないから登録されていないため、販売も使用も禁止されているということであり、もうひとつは、何らかの毒性が確認されたので使用が禁止されたということです。食品の安全性を考えるうえで、これはたいへん重要なことなので、きちんとわけて考えなければなりません。

同様に、米国で使用が「禁止された」という場合も、それにはやはりふたつの理由があります。米国では、1988年に「連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法」という農薬に関する法律が一部改正され、1984年以前に登録された農薬は、安全性に関する試験データを、9年間ですべて再評価することになりました。再評価するためには、農薬メーカーが最新の科学的知見から追加試験を行って、データを提出しなければなりません。この見直し作業により登録が取り消された、あるいは取り消される農薬には、1.追加試験により、安全性に関して疑わしい結果が出てしまった場合、2.農薬メーカーが追加試験のコストや新たな登録料を負担してまで、利益の少ない農薬を製造する必要はない、と判断した場合とがあります。

米国連邦政府の官報などを入手すれば、登録抹消の理由が書かれているので混乱はありませんが、マスコミなどでは、このあたりの背景を無視または知らずに、「禁止された」とか「禁止されている」などと報道されることが多いようです。適正に判断するためには、的確な情報提供がたいへん重要なことです。

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Q59.

農薬取締法に基づく「登録保留基準」と食品衛生法に基づく「残留農薬基準」は今後どのように設定されることになるのでしょうか?

日本国内で製造・流通・使用する農薬は、「農薬取締法(農林水産省所管)」に基づき、農林水産大臣の登録を得たものでなければならないことが定められています。

この登録の際には、環境大臣が定める「登録保留基準」に基づき、登録をするか保留するかが決められます。登録保留基準は、環境中(土壌、河川水)での残留基準のほか、農産物中に残留しても許容される作物残留基準が設定されています。

一方、「食品衛生法(厚生労働省所管)」に基づき定められている「残留農薬基準」は、国内で流通する食品に関して農薬の残留を規制するもので、必ずしも国内で使用される全ての農薬に設定されていません。

今回、食品安全基本法の制定に合わせて、農薬取締法の一部が2003年6月に改正され、今後、新たに登録される農薬については、農薬の登録と同時に、食品衛生法に定める「残留農薬基準」を設定する仕組みが制度化され、これを、作物残留の登録保留基準とみなすことになりました。

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Q60.

残留農薬基準値の「1.0」と「1」には、どのような違いがあるのですか?

例えば、基準値が1ppmに設定されている場合は、検出された値が1.4ppmまでは適合していると判断されます(1.5ppmは違反)。一方、基準値が1.0ppmに設定されている場合は、検出値が1.04ppmまでは適合しているとみなされます(1.05ppmは違反)。

検出値が基準値に適合しているかどうかを判断する際、設定されている基準値に示された桁の次の桁を四捨五入した場合、その値が基準値を超えなければ適合となります。

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Q61.

コーデックス委員会では残留農薬についてどこまで定められているのですか?また、どのように基準が検討されるのでしょうか?

コーデックス委員会において、それぞれの農作物に対する残留基準が定められています。各残留基準についてはこちらをご覧ください。
Pesticide Residues in Food

厚生労働省では、残留農薬基準を定める際、各農薬の毒性試験結果に基づき設定したADI(一日摂取許容量)を考慮しますが、コーデックス委員会でも同様にADIを検討して安全性を確認した上で基準を定めるようにしています。

コーデックス委員会については、キーワード:コーデックスをご覧ください。

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Q62.

植物検疫の今後のあり方について教えてください

A.2004年5月21日に、農林水産省に設置された「植物検疫に関する研究会」が「今後の我が国の植物検疫のあり方に関する提言」をとりまとめました。これは、昨今の輸入農産物の増加及び多様化により病害虫の侵入の危険性が増大したこと、病害虫診断技術が高度化していること、国際基準との調和などの植物検疫を巡る情勢が変化していることを踏まえたものです(図1参照)。

図1:輸入植物検査件数の推移
(植物検疫に関する研究会報告書 参考図表編より)

この提言に基づき、今後植物検疫の体制が順次見直される見通しです。提言では、輸入された種苗類の検査体制強化、病害虫の侵入リスクに応じた検査抽出率の弾力化など、一層の重点化が求められています。また臭化メチルの放出の一層の削減と代替技術のさらなる開発推進、輸出入・港湾手続きの24時間365日体制の整備、生物多様性の保全などの新たなニーズへの対応、諸外国の検疫条件に関する情報提供体制の強化、広報の充実などについても言及されています。

植物検疫の基礎知識

植物検疫は、「輸入植物等を検疫し、病害虫の我が国への侵入を防止し、もって我が国の有用植物を保護し、農業生産の安全を図ること」などを目的とする植物防疫法に基づき行われます。

日本の植物検疫制度は、検疫有害動植物(※1)が国境を越えて侵入し、まん延することを防ぐ「国際植物検疫」と、国内の一部に存在している有害動植物のまん延を防ぐ「国内植物検疫」に分けられます。

国際植物検疫のうち輸入植物検疫では、国の機関である植物防疫所の植物防疫官によって輸入された植物が輸入禁止品に該当するか、有害動植物が付着しているかなどの検査が行われます。輸入禁止品とは、

  • チチュウカイミバエなど国内に侵入した場合、甚大な被害の生じる可能性が高い病害虫の発生地域から発送またはその地域を経由した寄主植物、
  • 生きた病原菌や害虫、
  • 土や土の付着する植物、
  • これらの容器包装

のことを言います。

輸入禁止品の場合には廃棄されますが、検疫有害動植物が発見された場合は、くん蒸、低温処理、二酸化炭素処理などの消毒が行われて輸入が認められます(図2参照)。

(※1)検疫有害動植物
まん延して有用な植物(農作物、森林、緑の資源など)に損害を与えるおそれがある有害動植物(病害虫)であって、次のいずれかに該当するものをいいます。

  • 国内に存在することが確認されていないもの。
  • 既に国内の一部に存在しているが、国により発生予察事業その他防除に関し必要な措置がとられているもの。

図2:輸入植物検疫の流れ
(植物検疫に関する研究会報告書 参考図表編より)

また、輸入禁止品のうち、輸出国側において輸入禁止対象害虫を完全に殺虫できる技術が確立した場合などは、公聴会を経た上で条件付輸入解禁制度がとられています。例えば2004年1月には、スペイン産のサルスティアーナ種スウィートオレンジとクレメンティンが低温処理することなどを条件に輸入禁止が解除されました。

海外諸国でも、国際植物防疫条約(International Plant Protection Convention)のほか、WTO協定の一部として発効した衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)に基づいて、植物検疫が行われています。

農作物の病害虫は、新しい地域に侵入すると天敵がいなかったり、競合する他の病害虫が少なかったりすることから、驚くほどのスピードで広範囲にまん延し、大きな被害をもたらすことがよくあります。

たとえば、南方から八重山諸島に侵入し沖縄に広がったウリミバエは、ニガウリ・ヘチマなどウリ科植物に大きな被害をもたらし、根絶までに22年の歳月と200億円以上の費用がかかりました。ウリミバエの根絶は世界でも数少ない成功例と評価されています。逆に、日本から他の地域に病害虫が侵入し、大きな被害をもたらすこともあります。マメコガネがその一例で、日本ではさほど被害を生じることはありませんが、アメリカではバレイショなど主要な農産物に大きな被害を与える大害虫となっています。

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Q63.

最近いろんなフルーツを見かけるようになりました。

A. 条件付き輸入解禁により、さまざまな国からフルーツが輸入されるようになったことがひとつの理由です。

近頃とても変わった色や形をしたフルーツが、スーパーなど身近なところでも見られるようになりました。食生活の多様化を反映し、輸入農産物の多様化もますます進んでいます。

平成16年の農林水産統計によると、国内に流通するフルーツのうちのおよそ36%が輸入フルーツで、バナナやキウイフルーツなどのように今やおなじみのものをはじめ、チェリモヤやピタヤのように耳慣れない名前のものまで、その種類はさまざまです。

これらのフルーツを含めた輸入植物は、何でも日本に持ち込めるわけではありません。万が一、日本に侵入した場合には、我が国の農業生産に被害を与える恐れのある病害虫(チチュウカイミバエ、ジャガイモがんしゅ病など)が侵入しないよう、日本の植物検疫制度により、それら病害虫が付着する危険性のある植物については、その輸入は禁止されています。フルーツはこれら輸入禁止品に該当するものが多く、一部の産地のフルーツしか輸入することができません。しかし輸出国であらかじめ必要な消毒(低温処理、蒸熱消毒など)が行われ、農林水産大臣の定める条件に従って輸入されるものについては、この禁止が解除されています。

このような制度の下で、さまざまな産地から最盛期の違うフルーツが輸入されるようになり、一年を通して目にすることが多くなったことも、いろいろなフルーツに気付くようになった一因かもしれません。もちろん、食品衛生法に基づく衛生面での安全性がチェックされて輸入されています。

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Q64.

植物自身が農薬のような物質を作り出しているというのは本当ですか?

A.植物は防御物質を自分で作り出し、虫や病原菌を防いでいます。

身近な植物の中には、天然の農薬ともいえる、防御物質をもっているものもあります。米国ののカリフォルニア大学でがんの発生のメカニズムについて研究を行っていたエームズ博士によると、米国人が食物からとる天然の防御物質の総量は、1日平均1.5gで合成農薬の1万倍以上にあたるそうです。

天然の防御物質はさまざまなものがあります。例えばリンゴの茎、葉や根に含まれるフロリジンには、アブラムシ類が吸汁するのを阻害する作用があり、セイタカアワダチソウやソバをはじめ多くの植物に含まれているカテキンやロビネチンには、アレロパシー作用(※1)があります。ワタに含まれるケルセチンは、ワタキバガという蛾の成長を阻害します。またアブラナ科のほとんどの植物にはカラシ油配糖体があり、特に強い刺激をもつものにイソチオシアネートがあります。わさびやおろしダイコンの刺激成分のアリルイソチオシアネートはこの代表です。人間は別として、動物はこういった刺激性のものを好んで食べることはありません。

植物にはこのようにもともと備わっている防御物質だけでなく、攻撃されるとそれまでもっていなかった有毒成分を合成したり、低濃度だった物質を大量に合成し始めたりするものもあります。例えば、コロラドハムシに攻撃されたジャガイモの葉や、ハスモンヨトウやシロイチモンジヨトウなどの蛾の幼虫に食べられたトマトの葉では、プロテナーゼ・インヒビターというタンパク分解を阻害する酵素がたくさん作られます。プロテナーゼ・インヒビターによってタンパク質の消化が阻害された幼虫は、成長が遅れてしまいます。

また、セロリは菌核病菌に感染するなど何らかの傷害を受けると、フラノクマリン(※2)の合成を開始し、その濃度が急激に上昇します。もしフラノクマリンが高濃度である場合、皮膚に触れることによって、火傷状の炎症が起きることがあります。農薬を適正に使用するなどして、菌核病を防いでいれば問題ありませんが、畑で菌核病に感染して、出荷後に発病した無農薬セロリでは、フラノクマリンの濃度が高くなっているおそれがあります。

菌核病にかかったセロリでみられるフラノクマリン濃度の上昇

このように、植物は病原菌の感染や害虫から自分自身を守るための防御物質を作っており、濃度によっては人間にも害を与えます。天然の防御物質だからといって、合成の化学物質よりも安全性が高いとは限りません。むしろ農薬を使う方が安全な場合もあるのです。

(※1)アレロパシー作用
植物が放出する化学物質が他の生物の生育を阻害する作用のこと。雑草の除去に活用されることもある。

(※2)フラノクマリン
いろいろな生物に対し、光過敏症、変異原性、致死性など多様な毒性を示す物質。

天然の防御物質の発がん性物質
発がん性物質 食品 含有率(ppm)
5,8-メトキシソラレン パセリ
セロリ
14
0.8
p-ヒドラジノ安息香酸
グルタミン-p-ヒドラジノ安息香酸
マッシュルーム 11
42
シニグリン キャベツ 35〜590
アリルイソチオシアネート カリフラワー
芽キャベツ
からし
12〜66
110〜1,560
7,200〜16,000
リモネン 黒こしょう 8,000
エストロゴール
酢酸ベンジル
バジル 3,800
82
サフロール ナツメグ
黒こしょう
3,000
100

B.N.Ames et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci,USA,87:7777

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Q65.

かびぐらい食べても大丈夫ではないですか?

高温多湿の日本は、まさにかび天国。うっかりしていると、たちまち食品にかびが生えてしまいますが、大抵のかびは、食べても実害がない、と伝えられてきました。こうした言い伝えは、本当に正しいのでしょうか。

かびは生き物ですから、代謝によりいろいろな物質を産生します。かびのなかには、醸造に利用されるこうじかびやペニシリンを産生するある種の青かびのように、人間にとって有益なものもあります。でもその一方で、ヒトや家畜の健康を損なう、有害な物質を作り出すかびもあるのです。このようなかびが産生する有毒物質を、「マイコトキシン」と呼びます。マイコトキシンはラテン語で、和訳すると「かび毒」という意味です。

世界的にかびの毒が注目されるようになったのは、1960年に、こうじかびの一種が産生するアフラトキシンという、非常に毒性の強いかび毒が発見されてからです。このアフラトキシンは、今では天然物質の中で最も発がん性が強い物質として、よく知られています。

アフラトキシンの発見以来、世界各国で精力的にかびの研究が進められた結果 、現在までに数多くのかび毒が明らかになっています。その代表的なものが、アフラトキシン、パツリン、オクラトキシンなどで、肝がん、肝臓障害の他、腎障害、胃腸障害、造血機能障害などのさまざまな毒性が報告されています。

主要なかび毒を作るかびの種類として、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フザリウム属などが知られています。しかし、このような属に分類されるすべてのかびが、かび毒を作るというわけではありません。例えば、ペニシリウム属のかびのなかには、パツリンのようなかび毒を産生するものがある一方、ペニシリンのようにたいへん有用な抗生物質を産生するものもあります。また、アスペルギルス属のこうじかびのなかには、みそ・しょうゆや清酒を造るのに使われるものもあれば、アフラトキシンといったかび毒を作るものもあります。

かびには、緑、赤、黄、黒などの色がついているので、かびが生えているものは肉眼でわかります。といっても、そのかびがかび毒を産生する有害なものなのか、それとも無害なのかを肉眼で見分けることはできません。また、かび毒も無色です。したがって、かびの生えたものは食べないほうが安全です。

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Q66.

輸入青果物からO157に感染する恐れはありませんか?

1996年に、主に学校給食を介して腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が発生しました。このとき、マスコミは犯人探しに躍起となり、輸入青果物も疑いをかけられました。「野菜は、生で食べずにゆでて食べるように」などといったことが、人々の不安をあおったようです。

O157は家畜由来の細菌ですから、青果物が直接の原因になることは考えられません。青果物の輸入者や販売者の団体である(社)日本青果物輸入安全推進協会でも、このとき、このような状況を踏まえて、100を超えるサンプルを自主検査しましたが、O157が検出されたものはひとつもなかったということです。

O157は、もともとは牛などの腸に存在しているといわれています。保菌率は低いのですが、不適切な取り扱いによって、食材や調理器具などが二次汚染されると、大規模な食中毒事件に発展しかねません。

O157に限らず、食中毒を防ぐには、まず第一に菌をつけないこと。つまり、食材はよく洗う。保管する場合は密封して冷蔵庫に入れる。また、手指の洗浄、まな板や包丁、ふきんなどの消毒・殺菌も重要です。第二に菌を増やさないこと。菌の増殖を防ぐために、調理したものはすぐ食べるか、保存する場合は必ず冷蔵庫に入れておくようにします。第三には、生ものは十分に加熱することです。この3原則をきちんと守れば、食中毒は十分に予防できます。

輸入青果物に限らず、生で食べる食品は衛生上きれいに洗って食べることが望ましいのです。

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Q67.

自然のままの食品にもホルムアルデヒドのような有害物質が含まれていると聞いたのですが・・・

天然の成分として有害物質が含まれていることがあります。食品には多様な栄養素が含まれていますが、栄養素の吸収を阻害したり、食べすぎるとからだに有害な影響を与える成分が含まれている場合もあります。たとえば、「シックハウス症候群」の原因物質として指摘されているホルムアルデヒド(※1)も、一部の食品中に自然の成分として含まれている有害物質の一つです(表参照)。

有毒・有害な物質が含まれる食品の販売等は、食品衛生法第4条において禁止されていますが、これには「人の健康をそこなうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りではない」とのただし書きが付されています。厚生労働大臣が定める場合とは、具体的には「自然に食品に含まれ、その程度や処理によって健康をそこねるおそれがない」ケースのことで、この場合は第4条の適用外になると規定されています。ホルムアルデヒドのような物質が、一般の食品に天然成分として含まれていても、その食品を日常的に食べる量や、調理によりかなり除去できることなどから、問題がないことがわかっています。ただし、ホルムアルデヒドは食品に添加されることは許されませんし、今後、食品添加物として指定されるような可能性もまったくありません。

(※1)ホルムアルデヒド
気体を吸入した場合、のどの気道粘膜が刺激され、呼吸困難や肺浮腫などの中毒症状を起こす物質で、発がん物質でもあります。ホルムアルデヒドの水溶液がホルマリンです。昭和45年に食品中に天然の成分として含まれることが判明した際、食品衛生調査会によって審議が行われ、自然に含まれるものについては「特に人の健康をそこなうおそれがない」と判断されています。

ホルムアルデヒドを含む食品
食品 ホルムアルデヒド含有量
きゅうり 2.3ppm
きくらげ 1.7ppm
生しいたけ 54.4ppm
乾燥しいたけ 244.0ppm
ホルムアルデヒドを含む食品
あさつき かぶ かぶの葉
ごぼう こまつ菜 春菊
大根 大根の葉 たまねぎ
高菜 なす にら
ねぎ 白菜 パセリ
サラダ菜 ピーマン みつば
レタス ふきの葉 さつまいも
わかめ

「わかりやすい食品衛生の手引き」新日本法規 より作成

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Q90.

植物が病害虫などのストレスを受けると、防御物質を出すそうですが、アレルギーの原因になることもありますか?

最近の研究で、天然の防御物質の中には、アレルギーの原因物質となるものもあることがわかりました。

植物では、他の生物の生育を阻害する天然の防御物質がつくられることが知られており、この現象は「植物アレロパシー」と呼ばれています。こういった植物がつくる様々な防御物質の中には、植物が生育する過程で病害虫などのストレスを受けたとき、ストレスに対抗するために多量につくられる感染特異的たんぱく質(※1)があり、これがアレルギーの原因となることが明らかにされています。

食物アレルギーには、乳幼児などで発症し、全身にじんま疹などの皮膚症状が出るタイプと、花粉症にかかっている成人での発症例が多く、主に口腔内のかゆみや喉の息苦しさなどを感じるタイプがあります。前者では乳や卵での発症が多くなっています。後者は、花粉などのアレルゲンによって抗体がつくられた後に、花粉アレルゲンと類似するアレルゲンをとると発症し、植物に含まれる感染特異的たんぱく質がその主要アレルゲンとして知られています。

最近では感染特異的たんぱく質について研究が進められており、2005年3月の日本農芸化学会で京都大学大学院農学研究科助手の森山達哉博士(現・近畿大学農学部講師)による発表が行われました。その研究では無農薬栽培で、黒星病などを発生したリンゴと、慣行栽培し病気の発生しなかったリンゴを比較しています。発病したリンゴは、発病していないリンゴと比べ、多くのアレルゲンができ、発病していないリンゴのほうがアレルギー発症のリスクが低いと発表されました。 防御物質の中には、アレルギーを引き起こすものや発がん性を示す物質もあります。天然のものだからといって安全とは限らないのです。

(※1)感染特異的たんぱく質
感染、食害、低温、乾燥などのストレス負荷で産生が誘導される防御たんぱく質で現在17種類程度が知られている。抗カビ、抗菌作用を有するものが多い。

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Q91.

緑色のゴルフボールのような皮をもつ、酸味の強いペルー産のレモンは日本に輸入されていますか?

ペルーではチチュウカイミバエという果物や野菜の害虫が発生しています。チチュウカイミバエが日本に侵入してしまうと、農作物に多大な影響を与える可能性があるため、レモンなどのかんきつ類をはじめ、多くの熱帯果実類は植物防疫法上、輸入禁止となっています。そのため、ペルー産のレモンは、日本国内に輸入されていません。

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Q94.

果物の種を飲み込んでしまっても、からだに影響はありませんか?

多くの果物の種は、消化されずにそのまま体外に排出されます。

果物と一緒に種を食べてしまった場合、「盲腸になる」などと言われることがありますが、それらは迷信といって良いでしょう。硬い殻に覆われている種は、一般的に消化されずにからだの外に排出されます。果実を食べた動物が移動し、遠くで種子を排出することを利用して、植物は繁栄してきました。地域や習慣によってはスイカ、カボチャ、ヒマワリなどの果物や野菜の種子が食べられています。

食べたからといって害になるようなことはありませんが、大きな種や先端のとがった種などは消化器を傷つけたり、消化の妨げになることもあるので、注意が必要です。

また、ウメ、アンズ、モモなどのバラ科の種や未熟な果実には、アミグダリンという青酸配糖体が含まれています。これは果実中の酵素や人間の消化管内で分解されると青酸を生じて、王とや腹痛、下痢などの中毒を起こすことがあります。しかし、含まれるアミグダリンは微量である上、果実が熟すとともにさらに減少するので、一般に店頭で販売されているような完熟に近い果実の場合は中毒の心配はありません。

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Q97.

1-MCP剤は、どのような資材なのでしょうか?また、どのように取り扱えばよいのでしょうか?

エチレン作用阻害剤1-メチルシクロプロペン(1-MCP)に普及の期待がかかっています。従来から、エチレン受容体に結合する作用阻害剤は開発されていましたが、受容体と作用阻害剤との結合が可逆的(くっついたり離れたりする)であったため、受容体から作用阻害剤が離れ、処理の効果が長持ちしないという問題点がありました。しかし、1-MCPは、受容体と不可逆的に結合し(一度結合したら離れない)、処理の持続時間が長い、低い濃度でも処理の効果が高いという特徴を持っています(下図)。リンゴ、ニホンナシ、カキなどで効果が認められています。

リンゴでは、果肉硬度や酸含量の低下の抑制効果をはじめ、「油あがり」や「やけ症」などの障害発生の軽減効果も認められています。このような効果から、1-MCPの利用は、早生・中生のような日持ち性の低い品種の流通・貯蔵に効果的です。また、CA貯蔵庫など長期保存用の施設を持たない産地における年明け後の出荷に効果的です。

ニホンナシでは、リンゴほど効果は持続しませんが、1-MCP処理すると10日から2週間程度商品性が維持されます(通常の適熟果の日持ちは5日程度)。カキでは脱渋後の日持ち性が向上します。

1-MCPは、常温・常圧では無臭の気体で、化学的には比較的安定していますが、高圧下では化学構造が変化してしまうため、ガスボンベなどでの保管・供給はできません。このため、1-MCPを高分子物質の中に閉じこめ、粉末状に加工する技術が開発され、水を加えることでガス化され利用する方法が実用化されています。アメリカのローム&ハース社が1-MCP剤の開発・販売に関する権利を獲得し、同社傘下のアグロフレッシュ社によりスマートフレッシュ®と言う名で開発されました。

アメリカにおいて、スマートフレッシュ®は、リンゴ、メロン、トマト、ナシ、アボカド、マンゴー、パパイヤ、キウイフルーツ、モモ、ネクタリン、スモモ、アンズ、カキへの使用が許可されています。また、イギリス、ニュージーランド、イスラエル、チリ、アルゼンチン、メキシコ、南アフリカにおいても販売が開始されています。現在は、主にリンゴ、アボカド、キウイフルーツなどで利用されています。

我が国では、1-MCP剤は平成22年11月9日付で農薬として登録され、適用作物(りんご、日本なし、西洋なし、かき)についてその使用が可能となりました。

1-MCPの作用機作(樫村、2004)

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Q98.

農薬と医薬品とどう違うのですか?

どちらも、何らかの生理的作用を示すという意味では全く同じです。

化学物質としてみた場合、農薬と医薬品に本質的な違いはありませんが、医薬品が人体に使用されるのに対し、農薬は農耕地という開放系において使用されるという違いや医薬品は人間の生命というかけがえのないものを対象としていることからいくつかの違いが見られます。

例えば、医薬品ではその効力が最も重視され、価格は二の次です。一方農薬は農業生産のために使われるものであるので、可能な限り低価格でその使用法も簡単なものでないと商品として市場に出すことが出来ません。

このような違いの中で、最も典型的な例としては、抗がん剤があります。強力な抗がん剤には脱毛や肝臓の機能低下といった大きな副作用がありますが、これは生命維持という究極の目的のためには、ある程度の副作用はやむをえないものとして認められているといえるでしょう。一方農薬では、開放系で使用されるので他の生物や河川、土壌等の環境への影響が大きい物質はいくら効力があっても許容されるものではありません。これらの要素を比較してみるとおおよそ表のようになります。

なお、医薬品や農薬、染料は同じような原料を使って、ほぼ同じような工程技術で作られ、化学構造も良く似ていますので、事実上世界の農薬を製造しているメーカーの多くは医薬品や一般化学品をも製造しています。

農薬と医薬品の相違点
項目 農薬 医薬
 対象  一般市民の食事、環境  患者
 摂取・投与量  極微量(食品中の残留量)  比較的多量(薬効発揮量)
 受益感覚  無  大
 摂取の回避  ほとんど不可  可
 悪影響・副作用  容認不可  容認可
 毒性試験  実験動物  臨床試験
 安全性の確保  ほぼ絶対的に必要  薬効と副作用の比較で
 価格  安価(採算性重視)  高価(人命重視)

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(社)日本青果物
輸入安全推進協会